第47章 「恋の和歌集(11)家康様編」
玄関に入って早々に、
「ごめんね。お母さんに朝言われたのに……」
私は家康に謝った。
「ひまりが、鍵忘れんのはしょっ中あることだし。今更」
家康にタオル取ってくるから、そこで待っててと言われ、脱衣所に向かう背中を目で追った後、私はブレザーと濡れた靴下を脱いで玄関に腰掛けた。
(もっとしっかりしないと)
今朝、お母さんに今日は出掛けて帰りが遅くなるからって言われたのに、うっかり鍵を忘れた私。
こんなんだから、あの時何にも言い返せなくて……。
「ひまり、俺の着替えで良かったらあるけど」
家康は用意してくれたみたいで、手にはグレーのパーカが握られていた。
「ブラウスはあまり濡れてないから、大丈夫だよ」
「まぁ、俺は目の保養になるから良いけど」
え?目の保養?
そして、家康がある一点をじっと見ていることに気づく。
ん?何だろう?
その視線の先に目をやると、
「わぁっ///」
ブラウスから思いっきり下着が透けていて、慌てて手で隠しながらパーカを受け取る。
「……ピンク」
「エッチ///早く言ってよ!」
「……透けてる」
「遅い〜!」
私はお邪魔しますと言って、脱衣所を借り着替えを済ます。フワッと家康の匂いが自分の身体に香り、何となくソワソワしてしまう。
(抱き締められてるみたい///)
ドキドキしつつ、パーカの丈が長いのを見て私はついでにスカートも脱ぐ。
これで、ブレザーと一緒に乾かせるし一石二鳥。
先に掛かってる家康の制服と一緒に自分の制服もそこにぶら下げて、衣類乾燥機のスイッチを押す。
(おばちゃん留守みたいだし、後でお礼言わないと)
私は鞄と髪を軽く拭き、家康の部屋に向かった。