第224章 天邪鬼の愛~中紅花~(11)弓乃×政宗様編
でも……
「政宗……」
「もう離さねえぞ。お前の一生、俺が貰うからな」
政宗の真剣な表情の優しい笑みが、伝えてくれる。
その声が耳に届いた瞬間。胸が熱くなるより先に、唇に熱いモノが短い音を立てて触れ……
「んっ……」
離れた。
「もっと、気持ちよくさせろ」
顎がクイッと持ち上げられて、自然と私の踵が浮き……爪先立ちになる。
両思いになれたとか。
想いが繋がったとか。
カレカノの関係になれたとか。
全部、全部、その実感は後からじわじわと降りてくる。
窓越しの精一杯の背伸び。
窓から身を乗り出す、逞しい肩に片方の腕だけでしがみ付いて……
「……足りねえ」
「……ま、待ってよ///そ、んなにいっぱい……ん、ンッ」
早く、
そっちに行きたいのにさ。
「……気持ち良いだろ?」
態とらしくそんな私の気持ちを知った上で、揶揄ってくるから。
ほんと腹立つ。
(……悔しいけど、こんな所も好き)
今なら空飛べるかも。
つい、そんなバカみたいな事を考えるぐらい。次から次に降りてくる。甘くて深いキス。頭の芯まで届きそうな熱に、甘く視線が絡む隙もないぐらい……
「お前……甘いな。俺のが、色々とやばそうだ」
薄っすら目を開けた、一回。
政宗のそう呟いた目元が微かに赤く染まっている気がして、やばいぐらい嬉しくて心臓のドキドキが、ずっと……
ずっと……
止まらなかった。
好きな人の、
ヒロインになれた時。
女の子は誰でも可愛くなれる魔法。
そんな魔法がかかるんじゃないかって、本気で思った。だって現に……
「……そっち行きたい」
私がそうだから。
ふわりと浮いた身体。
「こっちに来たからには……」
キスだけで終わらねえぞ。
窓枠に腰掛けた私。
逞しい腕に落ちないように、支えられる。
固く結ばれた赤いリボン。
「好きだ……」
教室に戻るまで、
一度も解ける事はなかった。
ドンッ!!
天上から聴こえた大きな物音。
それすら、気づかないぐらい……
「初々しい反応するな、お前」
「あ、当たり前でしょ!///」
騒いでたかも。
弓乃×政宗様編〜fin〜