第220章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(7)政宗様編
午前、十一時___
開店して割と早くから、大繁盛。
呼び込みしている、
家康とひまりの効果か……
「ぎぁぁぁぁぁぁ!!」
「むさ苦しい男の生き血などは、いらぬ」
それか、織田先生が予想以上に乗り気の所為か。さっきから叫び声を聞きつけ、興味本位で入って来る奴が多い気もするな。
お陰でこっちは、休憩はなしだ。
トレイを片手に、さっき客が帰ったテーブルを片付けていると……
「あ〜怖かった!」
「でも、呼び込みのヴァンパイアの男の子!可愛かったよね〜!編み込みしてさ」
「でも、さっきのオールバックの先生も、超素敵〜」
お化け通路と、喫茶の間を仕切った黒幕を潜り、甲高い声で騒ぐ三人組の女。
この辺りでも、有名なお嬢様学校の制服。俺はその中に顔見知りが一人。さくらは、よっぽど怖かったのか、胸に手をあてていた。俺は目が合い、片手を上げると……
「政宗くん。きたよ!」
ふわふわ女らしい髪を揺らして、
笑顔を振りまきながら、近づいて来る。
「三人か?今、ちょうど席が空いた所だ」
「タイミングばっちり。飲み物だけ選んだら、良いの?」
俺は、ドリンクメニューを渡す。
ほうじ茶プリンは、
セットで付いていると説明してやる。
「政宗くんもヴァンパイアに、すれば良かったのに」
「別に、俺は何でも良い」
まぁ、本音を言えば。
このくそ長いローブは動きにくい。
何でこの衣装なのか、意図すら掴めねえけど。
(裁縫できねえ癖に、俺の為に作った。そう思えば、このローブの重みも丁度良い)
「ねぇ、サクラ!このイケメンさん知り合い?」
「紹介してよ!」
「あ!えっと、政宗くんは中学の後輩で……言っても良い?」
サクラは俺を見上げ、首を傾ける。別に、俺がとやかく言うようなもんでもない。
「えーっ!元彼!!」
「なに、なに!じゃぁ今日、部活あるのに、どうしてもこの文化祭に行きたい!って、言ったの!そうゆう事?」
周りの奴らが、一斉にこっちを見る。
お嬢様様学校のイメージ、台無しだな。
と、内心、呆れかえっていた時だ。