第220章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(7)政宗様編
お化け喫茶開店、直前___
半分に仕切られた教室。
入口は後ろ扉、出口は前の扉と決まり、まずお化け屋敷を再現した通路を歩き、その先に喫茶がある仕様になっている。
準備で思ったより手間がかかり、配役は当日、ぶっつけ本番で決めることになっていたらしい。
さっきから、
その所為で話が進まねえ。
「何で、ひまりがお化け役で先生と一緒なわけ?」
「貴様。自分が呼び込みの方には回さんと、言ったのを忘れたのか?そもそも、俺に生き血を吸われる花嫁役。ひまり以外、誰が出来る?」
織田先生は椅子に座り、
優雅に長い脚を絡ませ、口角を上げる。
「暗闇のドサクサに紛れて、もし変な奴がひまりに触れたら、どう責任取るんですか。俺が正気失くして、そいつの生気を、吸い尽くしても良いんですか?」
「一体、何の話をしているの?」
キョトンとするひまりを挟んで、微妙に噛み合ってねえ、物騒な会話を繰り広げる家康と担任の織田先生。
「接客の方は、信康くんが行ってくれたみたいだから。どっちもするよ?呼び込みも、お化け役も」
肩に掛けていたかブレザー。
それを脱ごうとした瞬間、家康が血相を一気に変え、背後から抱き竦めるのを見た俺は、やれやれと肩を上げる。
(ったく。開店前に何やってんだ)
呆れて、掛ける言葉一つ浮かばねえ。
まぁ、会話から察するにどうやら喫茶の接客の方は人数が多く、ひまりには呼び込みか、お化け役の二択しかないらしい。
俺は、必然的に接客に決まったみてえだけどな。
「……だめ。それなら、俺と一緒に呼び込み係。その代わりブレザー絶対、脱がないでよ」
「い、家康、顔が怖いよ?」
「ひまりが、ブレザー脱がなかったら怒んない」
わかった?
家康の威圧感に押され、
ひまりが、たじたじに頷くのが見えた。