第219章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(6)弓乃編
率直な感想を言えば、確かに際どい。
でも頭にチュールヘアアクセ付けて、
サイド編み込みのロングふわ巻き。
その辺りのモデルより、数倍可愛い。
童顔とあの豊満な胸を、
間違いなく活かした衣装。
それに比べ……私なんて。
はぁ……。
重たい息が出るのは、間違いなくこのまな板胸のコンプレックスの所為。
ひまりの衣装の黒バージョンを一瞬、作ろうとしてやめた。
私の衣装は普通の放棄を片手に持っていそうな、魔女。裁縫能力ないから仕方ないけど、露出なんてほど遠い黒の膝丈ワンピに赤いリボン。
「ってかさ!ヴァンパイアとかやばいよね!キバつけてくれないかな〜?」
「徳川くんは無理でも、信康くんならしてくれそう!!それか、先生!!」
甲高い声で女子トーク。
ほうじ茶プリンの上にお化けに見立てた、生クリームを絞り込み、胡麻で目をつくる作業をしながら、チラチラ横目で皆んなは、徳川と神木くんと織田先生をガン見。
(まさか、三人衣装が被るなんてね)
皆んなの視線先には……
首元だけ赤い、黒いマントを羽織り。
ヘアセットをしてベストを着用した三人。
徳川のは多分、ひまりがヘアセットしたっぽい。深い緑色のベスト着て、左側の髪だけ軽く編んである姿はかなり貴重。
神木くんはグレーのベスト。相変わらず前髪で左目だけ隠れてるけど、女子がヘアセットしたのか、サラサラヘアが無造作ヘアに。その所為で、徳川にかなり似てる。
織田先生は……もう完全に出来上がってる。赤のベストに、オールバックヘア。非の打ち所が見当たらない。絵から飛び出してきたオブジェのように、完璧なヴァンパイア。
売り上げに凄い反映しそうな、
三人の芸能人顔負けのヴィジュアル。
ひまりが日頃のお礼にとか言って、織田先生に徳川と同じ衣装を作っていたのは、知ってたけど……まさか、クラスの手芸部女子が神木くんにも同じ衣装を作っていたのは、予想外だった。