第219章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(6)弓乃編
文化祭当日___
『sengoku*お化け喫茶』
開店三十分前。看板を教室前に立てて、戻ってきた男子。着替えを終えたひまりの姿を見た瞬間、間抜けな声出して、だらし無く口を開けて?顔を赤くして結構、まぁ……じっくり見てから……
ギロッ!!
殺気オーラ全開の徳川に蛇みたいに鋭く睨まれ、カエルみたいにげっ!と、青い顔色を浮かべ、凄い勢いで視線を逸らした。
徳川の格好が格好なだけに、余計におぞましい?恐怖感が募ったのもしれない。
「ひまり、可愛い〜ちょっとセクシーだけど!いい感じ!」
「徳川くんと横に並んだら、もういかにも!って、感じだよ!!」
「ほんと?ゆっちゃんがテーマ決めてくれたんだけど……ちょっと、破りすぎたかな?」
ピラッとひまりが、切り刻まれた衣装の端を掴めば……それにギョッとした様子で、徳川は即座に隣まで移動。
「ひまり。本気で怒るよ?」
「え?……もしかして、私が作ったヴァンパイアの衣装……気に入らなかった?」
「そうじゃなくて……はぁ。兎に角、無駄に見せないで」
それを、聞いてキョトンとするひまりに、ヴァンパイアの格好をした徳川は、盛大な息を吐き出す。
それから、
(やばっ!!!)
鋭い視線を浴びそうになり、私は手に持っていた銀のトレイで顔を隠して防御。
(当分、ひまりの隣にはいけないわっ!あれだと!!)
身の危険を察知。
衣装提案した私はそそっと、そのまま横歩きして、プリンのトッピング準備を始めた女子グループに混ざった。
(可愛いんだから、感謝して欲しいぐらいなのにさっ!)
心の中で愚痴る。
ひまりが着ているのは、簡単に言えば生贄の花嫁。
一見はフェミニンな雰囲気のチュールドレスのきわきわっミニ丈。ふんわり広がるチュールが柔らかく清楚なエレガントな花嫁なんだけど……ハートカットの胸元と、所々にビリビリに切り裂いた部分からは、白い肌が露出。
因みにさっきピラッとサービスしたのは、ざっくり切り口が入った、ウエストラインの部分。