第218章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(5)
駅前にある一軒の雑貨店。
ピンク色の看板が目印の、
にこハッピーストア。
つい学校帰りに、何度でも行きたくなるぐらいお気に入りのお店。キッチン雑貨、バスアイテム、インテリア雑貨、アクセサリー、イベント時の飾り付けや、文具、幅広くなんでも揃っていてお値段もリーズナブル。
均一商品が多くて、私達女子高生のお小遣いでも手が出しやすいところから、連日、お客さんで溢れかえるぐらい人気店だった。
今日も、大盛況。
「二人共、早く!早く〜」
入り口で店内に入るのを躊躇している二人に、私は振り返って声をかける。家康はわかるけど、信康くんはすんなり入れるイメージがあったから、ちょっと意外。
急いで学校に戻らないといけないのに、声をかけても、二人は入ってくる気配はなくて……
(そんなに、嫌なのかな?)
私は首を傾げて、店内を見回す。
確かに店内は女の子ばっかりで、
男の子の姿は一人もいない。
でも、目的は買い出し。
お客さんなんだから、堂々と入っても問題なんてないのに。
「ほら、一緒に入ろう?」
パタパタと入り口に戻り、
手をするりと、家康の腕に絡ませる。
「はぁ。……本気で言ってんの?」
盛大なため息。
「予算的に考えたらここが一番!可愛いし、品揃えも豊富だし、いっぱい買えるよ!」
でも、めげずに説得。
家康が先に入ったら、信康くんも後からなら入りやすいかな?と、考えた私は身体を腕に密着させて、強めに引っ張っていると……
家康が急に喉を詰まらせて赤面。
私はそれに気づいてその体勢のまま覗きこめば、プイッとそっぽを向く。