第216章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(3)
この場に三成と政宗を呼んだのは、あることを確認する必要があったからだ。
そして予想通り……
「はい。まさか皆さんも同じ状況だったとは」
普段から歩調に文に目を通していた三成は、割と早くに気づいていた。しかし、当の本人は、まさか盗まれていたとは思わず、ひまり同様うっかり何処かに仕舞い、忘れていたのかと思い込んでいた。
この話を聞き、真剣な表情を浮かべエンジェルスマイルを、消す。
「俺は聞かれるまで、気がつかなかったけどな」
政宗は昨晩、探したが見当たらなかったと報告。光秀と秀吉も同じく自分達もだと続く。
「やはり、そうですか」
書物が忽然と消えたことから、もしかして文も失くなっているのではと、考えた佐助。確認を取る為、事前に調べてきて貰っていた。
そして頭を捻り、
「書物と文が消えた理由。それと、何故、三つの神器が必要なのか……まだ、謎が多すぎて今の段階では何とも言えませんが……」
このまま調査を続け、暫くは信康の動向を探るつもりだと五人、一人一人に視線を流して立ち上がる。
「家康の文は確認していない。後、ひまりの方の書物の方も、な」
「彼女の書物を彼が持っていたのは、既に確認済みです。栞が挟んであるのは、俺のではありませんので」
信長の言葉に佐助は即座に返事をして、その場から姿を消す。そのタイミングでホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴り……
政宗は肩にブレザーをバサッと掛け、
三成は深々と信長達に頭を下げ、教室に向かった。
残った三人。
重苦しい空気を打ち破るように、
「家康の目のことも気になるな。最近、押さえる回数が増えている」
光秀は立ち上がり、白衣を翻して窓側まで移動。秀吉もそれに続くように、足を進め外の景色を眺める。