第215章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(2)
幸せな日々。
皆んなに冷やかされて。
恥ずかしくて。
文句を言いながらでも……
「ほら、あんまり怒ると可愛い顔。台無しになるよ」
ふにふにっ。頬っぺた引っ張られて、嬉しいような、意地悪みたいな言葉を貰って。
離れた、廊下側の席と窓際の席。
そんな、小さな事で寂しくなったり。
でも……
「今日は、辞書を使うからな」
始まった国語の授業。
辞書を取り出しながら、
ふと窓側に視線を向けると……
ばーか。
目が合って。
いーだ。
口パクでこっそり会話。
それだけで、すぐに幸せになる。
バサッ!
「……クスッ。はい」
「ご、ごめんねっ!ありがとう」
あるページで開いて落ちた辞書。
信康くんからそのまま受け取り……
机の上に置いて真っ先に、
飛び込んだ漢字の二文字。
『永遠』(えいえん)
①ある状態が果てしなく続くこと。
「この時が永遠に続けばよい」
②時間を遥かに超えても変わらないこと。「 永遠の真理」
戦国姫と戦国武将が、
約束して誓った永遠の愛。
私と家康が、
約束して誓った永遠の愛。
二つの『永遠』に違いはあるのかな。
まだ、私は知らなかった。
私達の『永遠』を……
本当の『永遠』を……
ここから、
「真実」を少しずつ知り……
「約束」が少しずつ……
『永遠』の意味を教えてくれることを。
運命は変えられても。
決して、変わらないモノ。
変えられないモノがあることを。