第215章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(2)
休み時間の騒がしい教室。
その黒板横で、こんなに密着されて恥ずかしいのと、皆んなもいるのにとか、色々とぐるぐる考えちゃう。
吐息が頬を掠めて、
「ひまり。さっきから、何一人でぷるぷるしてるの?」
平然とした声。
でも、意地悪で言っている可能性も大!顔を見てないから、どっちかわからない。さっきから、ぷるぷるぷるぷる言われてるから、余計に体が震えてきて……
(うぅ……///近いよぉ…///)
もう、誰のせいーっ!///って、言いたくても、言い返せないぐらい、一人で意識していつまでもドキドキしてる。
家康は左手だけ壁につけたまま、もう片方の腕を軽く私の腰に絡ませた。
もしかしたら、後ろにいる皆んなには私の姿はあんまり見えてないのかもしれない。いつもなら、すぐ飛んできそうな冷やかしが一つも聞こえない。
胸の前で行き場所を失った手を、
キュッと組んで……
「そ、それよりありがとう///先生に頼まれてたからっ」
振り返ってちゃんとお礼を言いたいのに、体勢的に振り返るとまずい気がして……横目でチラッと家康の顔を確かめる。
すると、金色の髪がスッと下に落ちるのが見えて、肩に感じた軽い重み。
「……あいつと、何。喋ってたの」
「あいつ??」
「……転校生」
「信康くんのこと?」
そう聞き返すと、ピクッと家康は反応して肩に乗っていた頭がゆっくりと持ち上がるのに気づき、私もそれに反応して顔を横に向けると……
目と目がぶつかる。
それも鼻先が擦れそうな距離で。
思わずどきりと胸が跳ねて、少し後ろに下がろうとしたら……。家康の眉が、キュッと真ん中に寄るのが見えて、腰に軽く回っていた腕に力が入るのがわかった。
「もう、仲良くなったわけ?」
「え?仲良く……?まだ、挨拶交わしたぐらいで……ってか、近いよ///」
一瞬、何でそんなこと?
私は疑問を抱いて、でもあんまりにも距離が近いから、すぐにそれどころじゃなくなる。