第214章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(1)〜
最後の方だった為、
選ぶほどなく直感でピッと引く。
そして、番号を確認する前に……
(出来ることなら。家康の隣が良いなぁ……)
やっぱり、
好きな人の隣の席になりたい。
真っ先にその思いが浮かんで、紙を指で挟み口元にあてて、チラリと先にクジを引いた家康に視線を向けると……
ドキッ///
翡翠色の両目と交わった視線。
そして、同時にゆっくり動く口。
な、ん、ば、ん。
紙を挟んだ長い指。それが整った顔の横でピラピラと動くのを見て……
(家康も、隣同士が良いって思ってくれてるのかな?)
何だか気持ちが通じ合ってるみたいで、くすぐったくて、嬉しい。
い、え、や、す、は?
自分のを見る前にそう尋ねる。すると、口の動きを読んだ家康は、私に見えるように紙をこっちに向けてくれて……
それを、目を凝らして見る。
(ん〜〜と。……三十一番?)
三十番代は今、私がいる席あたり。
窓際の後ろの方。
「え!最悪!またここだし!ひまり?何番だった?」
背後から、ゆっちゃんの残念そうな声。
「ふふっ。家康も多分、この辺りだよ。今から見るね!えっと〜〜………」
胸をドキドキさせながら、四つ折りの紙を開こうとしたら、ドンッ!窓際の近くを横切った誰かと肩がぶつかり……
ハラリと床に落ちる紙。
「ごめん!ひまり!ほらっ!あんたが押すから〜〜」
「悪い!姫!こいつが番号をなかなか見せなくてよ」
「まだ、私も見てないのに見ようとする方が悪い〜〜」
「ううん!大丈夫だよ!それより、姫って呼び方はそろそろや、め………あれ?どっちかな?」
しゃがみこんで、
紙を拾おうとした指が止まる。
床に落ちてる紙は二枚。