第212章 『意地悪なangel』
放課後の肌寒い、
石碑の前で……
「キャ…、…ン///」
俺は頭を抱え、
再び黒歴史を刻む。
「ん〜〜……もっと、瞳をうるうるして、悲しそうで〜」
「クゥー…ン……///」
「ふふっ。可愛い〜。でも、ワサビはそんな風に顔を赤くしないよ?」
俺の足の隙間にちょこんと座り、光で髪の上に天使の輪のような輝きのリングをつくり、笑うひまり。意地悪な笑顔は消えていたが、意地悪はまだ続く。
俺は胸に残るためらいを全て吐き出すような、息をついた。
(もう、俺。完全に自分捨ててるし)
いつの間にか教室から姿を消していた明智先生。結局、何の暗示かけたか分からずじまい。
ってか。
「次は……。いっぱい言って?」
(結局。どんなひまりでも……)
俺は視線を逸らさず、
くの字に曲げた指で……
柔らかい唇に触れ……
「……好きだよ」
何があっても
変わらない言葉を、口にする。
それは変わらない。
(もう別にこのまんまでも良い)
一瞬、ショック療法を考えてひまりがおかしくなった、この場所まで来たけど。俺の手で、石碑に頭をぶつけさすとか無理。
性格が変わっても、姿が変わっても、
それがひまりなら……
「もっと、言って……」
「………好きだ」
ヘアピンキスして、耳元で囁いて。
「い、えやす……」
「……ひまりの事が」
どうしようもないぐらい
好き。
誓いを立てるように、
手首を掴みそこにキスを落とす。
最後はやっぱり甘い……
そんな、二人のハロウィン。
天使の意地悪か、イタズラか……