第212章 『意地悪なangel』
裏庭の木の側に二つの影。
「あーあ。呪縛……解けてきたし。つまんねーの。イタズラ、物足りない」
一つの影は、クッと赤いネクタイを緩ませ……眼鏡を外す。
「まーな。……本格的なのはお預けされてるし。まぁ、書物とコレは回収させて貰ったけど」
もう一つの影は、白衣を翻して気に木に寄りかかり溜息を落とす。そして何処からか二冊の書物と、白い文を五枚……扇状にして広げた。
「後、一枚は良かったわけ?」
「……あれは。別に問題ないだろ」
「とりあえず、満月だし戻るか。行くぞ、天鏡。っと、それよりお前、どんなまじない。……かけたんだよ」
「あ、あれ。結構、強めにかけたんだけどな」
呆気なく解かれた。
目を開けて、一番最初に見た男をお前は知らない。お前が愛する男の名は家康。そいつに二つだけ何か頼めってな。
ーー家康??
「家康……。私も大好きだよ」
石碑の前で重なる二つの影。
〜意地悪なangel〜fin〜