第212章 『意地悪なangel』
何でもかぁ〜。
そう無邪気な声をあげて、まるで駄菓子屋でお菓子を選ぶように目を輝かせ……
くるっとスカートを翻して、
家康の方に身体を向ける。
「なら、家康はこっち」
そして、ニコッ。
満面の可愛い笑顔。
(うっ……かわい///)
家康は、きゅんっ。とその笑顔にときめき、暗示をかけられてもやはり自分を選んでくれた事が、単純に嬉しかった。
石碑に頭をぶつけ、意地悪エンジェルが降臨。そして三成のセラピーで、さんざん勘違いするような言動で弄ばれ、そして今……何かの暗示をかけられ、危うく光秀に迫られそうになり、ハラハラしたが……
本当に、
「何でもしてくれる?」
つま先を立て、自分の首に腕を絡ませ、甘えたように身体を密着させるひまりに、今度は心臓がばくばくし始める。
「何でもする」
「いっぱい、私のこと好きって言える?」
「な、何回でも言う///」
きゅるるんと潤んだ瞳で言われ、家康は顔の筋肉がだらし無く緩み始め、口元を隠す。顔を真っ赤にしながらも、こんな可愛い意地悪なら寧ろ大歓迎。
そう思った、矢先だった。
目の前の微笑み。
ニコッがニンマリに変わり……
「なら〜まずは……」
少し勿体無いぶったように、
間をもたせた後。
やはり、このエンジェルは……
「ワサビの鳴き声の真似して!」
やはり意地悪だった。