第212章 『意地悪なangel』
するとひまりは、顔を伏せたまま身体だけを家康の方に向け……
キュッとシャツを掴む。
「……ほ、んと?これからは、優しくしてくれる?」
家康はバッと三成に掴まれた手を離し、コクコクコクコクと、それは、それは盛大に頷く。
サラリと落ちる髪を耳にかけ、
三つ葉のヘアピンに触れると……
誓いを立てるかのように。
「これからは、優しくする」
真っ直ぐな視線を、自分の方に顔を上げたひまりに、向ける。
「ほんとに、ほんと?もう、意地悪しない?」
「ひまりが嫌がることは絶対にしない」
三成の存在をすっかり忘れ?無視して?ひまりの背中に腕を回して抱きしめ、髪に顔を埋めた。
「あれして、これしてって……言わない?」
「言わない。ってか、そんなに言ったつもりは……」
ない。はずと、家康は最近の営みを思い出す。確かに、お年頃の今。急激に沸き立つ性欲に抗えず、ひまりに触れてはいた。好き過ぎて、可愛過ぎて、抱いても抱き足りない。しかし決して、満足をしていないわけではない。
恥ずかしがる姿に堪らず、意地悪は言ってしまうが、それも愛故の行為。
しかも、何かを強く強要した覚えはあまりなかったが……
(でも、気づかなかっただけかも)
そう思い。
これからは今、以上に大切にしていこうと心を入れ替えようと決心したが……
次の一言で、話の流れが変わる。
「もう、難題解けなくても。ばかばかって言わない?」
「言わない。そんなこ………へ!?難題!?」
勢い良く密着していた身体に隙間を作れば、ニッコリと満面の笑顔を浮かべたひまり。