第212章 『意地悪なangel』
家康は、背に腹はかえられぬ。
その思いで三成を廊下で捕まえ……
「腹黒エンジェルのお前なら、何とか出来るかも……」
ボソッと呟く。
「へ??腹黒…え、ん?」
「とりあえず、この前、お前が図書室で俺にやろうとした胡散臭い催眠術かセラピーかしんないけど、ひまりにやって!」
自暴自棄、
やけくそ状態に家康は陥った。
そして始まった、
三成の催眠術。しかし、催眠術は普通暗示をかけるもの。この前の図書室で見つけたのは一風変わった、心理的な催眠術の本。
いわば、セラピーの療法を用いたものだった。日頃からカリカリしている家康に、三成はこの前、図書室でその本を見つけ、実行しようとしたのだったが全力で拒否られたのだ。
今からやろうとしているのは、深いリラックスした状態に一旦誘導し、ある一定の暗示を用いて、自分でも気がついていない潜在意識に働きかける事ができ、問いかけたり、暗示をかけることで、問題解決ができたり、記憶を呼び戻し、性格や考え方、行動などを、良い方向へと変える事が出来る筈なのだが……
本来とは若干趣旨がずれている。
しかも、それが出来るのはしっかりと学んだ者。
「三成くん?どうしたの?そんな格好して……」
図書室から本を取ってきたついでに、白い幕をどこからか入手。マントに見立て、肩から被り雰囲気作りだけは抜け目ない。
「あれ?ひまり先輩、いつも通りですよ?」
「……いいから」
三成は、不思議に思いながらひまりと向かい合わせに座った。
家康は少し悩んだ後、
ひまりの隣の椅子を引いた。