第212章 『意地悪なangel』
ドダダダダダダダッ!!
ダダダダダダダッ!!
「な、なんだっ!?」
「だ、誰か来るよっ!!」
廊下から凄まじい足音と地響き。
教室いた生徒達。
一斉に扉に視線を向ければ……
バァンッ!!
そこには……
「……はぁ、はっ、はっ」
この世の終わりのように、
血の気をなくした家康の姿。
尋常じゃない慌てぶりに、全員が絶句。本日、部活はない。文化祭に向けて、話し合いを行う予定。
しかし……
家康は、それどころではない。
「あ、あれはひまり……じゃ、ない……」
「おい、家康。一体、何があったんだ」
政宗が何事だと側に近寄ると、家康にガシッと肩を掴まれ……思わず動揺してギョッとする。
ガクガクガクガクッ!!
「な、な、な、何でっ!!」
「お、おいっ!落ち着けって!」
「ってか!徳川!ひまりは?」
弓乃もそこに参戦。
「皆んな。どうしたの?先生、もう来ちゃうよ?」
そして、騒ぎのタネになっているひまりが登場。青ざめる家康の隣に立ち、可愛らしく人差し指を頬に添えて、コクッと小首を傾げる姿は正真正銘……
いつも通りの姿。
青ざめていた家康は、
ピクッと眉を動かして何かに気づく。
可愛らしく、
くるっとスカートを翻して……
「家康?どうしたの?」
クラスの皆んなには背中を向けて、見えないようにひまりは前に立つ。声も鈴を転がすような、心地のいい声。
家康は、
恐る恐る目を合わせれば……
(ま、まさか。俺にだけ……と、か)
その心の声を読んだように、
角が少し上がる形のいい口。
「貴様ら、席につけ」
「先生。今日、目がちょっと霞んで。黒板見にくいので家康の隣に座っても良いですか?」
意地悪なangelが降臨した。