第210章 『angelの誘惑』前編※R18
夢……?
夢、とか?
寝ぼけて、幻想が見えてるとか?
熱で頭が、どうかなって……。
「私が側にいてあげる」
ベットに片足を乗せ、俺の身体に触れるのは間違いなく……幻じゃなく、正真正銘の生身のひまり。
「……っ!///」
ゴクッと一度だけ喉がなり。
それ以降は、瞬きすら忘れ、雷に打たれたように微動だにできない。
(………どうすんの。俺)
為すすべなく、ただ自問。
熱でまともに働かない頭。
この据え膳状態のお姫様に、
どう対応していいのかさえ……
今は、浮かばない。
ひまりが着ているナース服。形は、一般的な襟ボタン付きワンピース。ただ……明らかに丈が短い。ちょっとでも、脚を動かしたら普通に下着が見えそうで、それぐらい際どい。
(しかも、ご丁寧にナースキャップが長い髪の上に乗って……。しかも、生地は薄いピンク色)
これは、
白衣の天使じゃなくて……
(魅惑のナース)
しなやかな指が、
俺の頬に優しく触れ……
「あ、っ…つい……」
耳には、吐息のような声が届く。
(どうすんの!俺!///)
完全に脳がまだ停止状態の俺に、
「それに!……すっごい汗!今、着替え何か持ってくるね」
至って普段通りに接してくるひまり。
汗でぐしょり濡れた薄手のトレーナー。それをペタペタ触った後、慌てた様子でクローゼットの前に立ち「開けてもいい?」かと、俺に確認した上で着替えをガサゴソ探し出す。
頷いた記憶はないが、
どうやら無意識に頷いていたらしい。
俺が普段、部屋着に来ているパーカーとラフなスウェットズボンを持って……
ギシッ……。
「着替え手伝うね?」
何の恥じらいもなく、
汗ばんだ服に手をかけた。
そこで、
「なっ///ちょ、何やって!」
やっと、俺の思考と身体が動きその手を掴む。