第209章 『デートって何?』後編
二人に挟まれ、ひまりは唇を噛み締めて笑う。すると、頭に置かれていた信長の手が、小さな子供をあやすように動く。
「それぐらい歴史について語れるなら、今度の期末は期待しても大丈夫はそうだな」
「え、あ……えっと、それは……が、頑張りま…す」
それとこれとは別とは言えず、とりあえず意思表示だけは見せる。
「俺が絶対、補習にさせない。その代わり、ひまりも図書室行きね」
「家康。俺は、三成と二人でやれと言ったはずだが?」
「受付を、三成と二人ですれば良いんですよね?後は、自由って言いませんでした?」
「を」の部分だけを家康はやたらと強調。その皮肉交じりの声と態度が、また信長の癇に障り……
「いっ!!」
「貴様はやはり、少々荒いやり方で、態度を直させた方がいいな。光秀に頼んどいてやる」
「いらないし!ってか、耳。引っ張りすぎ」
「戦国の世。どんな折檻が行われたか……それこそ想像の上で再現してやる」
クスクス。ひまりは、その兄弟のようなやり取りには、ニコニコせずにはいられない。戦国時代、この安土城で同盟者同士の二人が、こんな風に過ごしていた歴史があったらと……ひまりは、それこそ夢を膨らませた。
それから暫くして二人は信長と別れ、
天守へと石階段を登り始める。
「もう、コレ良いでしょ?……キスしにくい」
「そう言えば、いつの間にか外してたよね?なら、今度、勉強教えてくれる時に付けてくれる?」
ひまりは、
丸メガネをチラッと下げた後。
コクッと首を傾げ、甘えた声を出されれば……「はいはい」と、家康は軽い返事。しかし、軽いのは口先だけ。
(……はぁ///つい、甘やかしたくなるんだけど。ってか、丸メガネでチラッ。また、反則技増えてるし)
伊達メガネをさり気ないワンポイントとして、ロンTの首エリに引っ掛け、すました表情を見せるが、決して心中は冷静ではなかった。