第44章 「恋の和歌集(8)信長様編」信長様side
梅雨入りの湿った空気が纏わり付き、鬱陶しい。
今すぐ肌に吸い付き、目の前の獲物に食らい付きたくなる。
「俺に奪い尽くされろ」
震え揺れる、あどけなさを残す瞳。
しかし、ブラウスの隙間から覗く豊満な谷間は、実に女の色香で溢れている。
口元を押さえ、そこに口づけを一つ落とせばピクンッと跳ねる小さな身体。
睨みつけおって。
知らんのか?
俺のような男は、その目に煽られることを。口づけを胸元の溝に降らせながら、
「声は、耐えろ」
口元の手を外し、縛り上げた両腕は押さえつけたまま空いた手をスカートの中に潜り込ませ、太腿を撫で上げれば……
「んっ……」
溢れる吐息。
ちょっと、からかってやるつもりが。何だ、この甘ったるい声は。
(気に入らんな……)
俺を乱す者は。まだ、無垢の女。
嘸かし絶品で、甘美で……下手をすれば俺のがヤラレる。
光秀に散々、生徒はやめておけと忠告しておきながら俺は堪らなく目の前の女が欲しい。
花のようにふわりと笑い。
鈴音のような声で話すひまりに、焦がれているなど……
口が裂けても言えぬな。
腐る程いる女の中、
心底欲しいと思った女は……
「貴様だけだ。俺を熱くさせる女子は」
脚を足で挟み、残りのボタンを次々に外す。強気な瞳が今度は怯えた瞳に変わり、
「先生……や…めて…」
無理を言う奴だ。
男心をいつまでも知らぬから、こうなる。
ひまりは桃色の下着を露わにし、恥ずかしそうに見上げ……声を堪えるようにギュッと唇を噛んだ。
(声を上げれば良いものを)
俺の立場を気にして、遠慮しておるのか?其れとも信用しておるのか、俺の事を。
(馬鹿な女だ)
フッと軽く息を吐き、口元を綻ばせ手の拘束を解くと……
耳元に顔を寄せる。