第209章 『デートって何?』後編
しかし、家康の第六感はやはり優れていて、近くの竹やぶには、二つの影が潜んでいた。
「さすが、家康公。鋭い洞察力」
「……その呼び名、止めておけ」
潜んでいたのは、佐助と信長だ。
「それよりも、だ。わざわざ、俺をここまで呼びつけ、収穫がなかったとは言わさんぞ」
「……すいません。まさか、二人が来るのは予想外でした。手短に済ませます」
実は、昨夜。
書物が消えました。
「……書物が消えただと?貴様が失くしただけではないのか?」
佐助は、それはあり得ないと断言。代々伝わる家宝として、書物を厳重に管理していた。それが、昨晩。突如、保管してあった場から、姿を消したのだ。無表情に若干、焦りの色が浮かんでいた。