• テキストサイズ

イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第208章 『デートって何?』中編




思いがけない遭遇。
幸村の待ち合わせを目撃した事から、
流れが変な方向に進み……

少し予定を変更して、変装をバッチリ決めた二人は、目的地に急ぐ。家康の遅刻で始まったデート。


次は追跡?


恋人達が集う緑に包まれた公園。

オールを一漕ぎすれば水面がキラキラと光を揺らしながら、ゆるりと進む。昼間でも静かな湖はロマンティクな雰囲気満載の、人気スポット。

二人の空間。
まさに二人の距離を近づけるには、絶好のシュチュエーション。



「きゃっ!け、結構揺れるね」



幸村と一緒に居た女は、足場の安定しないボートに驚き声を上げ、腰を落として、ボートの端っこを掴もうと手を伸ばす……

その様子をひっそりと見ていた、二つの影。
乗り場から少し離れた木の陰から、顔を出していた。



(幸!そこで手を格好良くスッ!だよ!)



ひまりは胸の前で拳を作り、
幸村にテレパシーを送る。


その姿を後ろから見ていた家康。



(……っと。お節介)



その姿が、何処と無く自分の母親と被り、似てきた気がして苦笑い。けれど、それはそれで嬉しさもあった。

顔だけでなく、好きになる女性のタイプも父親似かもしれないと。ふと、そんな事を思いながら……暖かそうなざっくりニットを着込む背中を、自分の胸に寄せ、口元を緩める。



「ほらよ。足で押さえててやるから。今の内に乗れ」


「ありがとう。幸くん。優しいね」


(凄い良い子。きっと、幸のこと好きなんだろうなぁ……)



ひまりは、女の嬉しそうな表情を見て、そんな事を考えていた所。コツンッ。後ろから頭を小突かれた。それに反応して頭を動かせば……家康は口パクで「の、る、よ」そう告げ、ボートを指差す。


幸村を乗せたボート。
それが遠ざかったタイミングを見計らい、料金を支払った後、家康は不安定な板の上に片足を乗せ……


「……ほら」


さり気なく手を差し出す。


「ありがとう」


ひまりは、このさり気ない家康の優しさが好きだった。笑って、ちょん。と、その手に自分の手を添える。すると、家康は細い腰元にもう片方の手を添え、しっかりと両足が着くまで支えた。



/ 1793ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp