第205章 天邪鬼の愛〜聴色〜(9)
とある研究室。
不気味なほど静まり返り……
デスクには、山積み重なった資料。
カタカタカタカタッ………
パソコンの画面に、吸い寄せられるように、視線を向け……
一番上の資料を取ろうと、佐助は手を伸ばす。しかし距離感覚が狂い、肘をカツンッとあててしまい……グラつく多ジャンルの分厚い資料。
それが雪崩を起こす前に、キーボードを叩いていた手を中断させ、素早い動きで支える。
暗闇に浮かぶパソコンの画面。
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転生とは、生まれ変わること。
運命……意思に関わらず、身に巡ってくる幸、不幸。巡り合わせ。
宿命……前世から定まっている命。避けることも変えることも出来ない運命的なもの。
天命……天から与えられた命。変えように変えられない運命。
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積み上がった
資料のタイトルは主に……
『歴史改変』
『並行世界』
『時空、次元』
(俺なら、この可能性の方を考えるが……)
佐助は支えていた資料を整え、安定させると……眼鏡を外し、机に置く。
(ワームホールは、時空のある一点から別の離れた一点を直結する空間。言わばトンネルの役割をした道)
繋がる世界は一つ。
しかし、もし繋がれば……
その先は次元の違う異世界とも考え…
目頭を押さえ、
信長との会話を思い出す。
ーー答えて貰いたい。何故、石碑に石が埋まっていることを?
ーー………新月になると女が現れる。三つの神器を探して欲しいとな……ひまりが戦国学園に入学してきた、春からだ。
ーー……女?
ーー振り返る前に消える。甘い香りだけ残して……な。
『三つの神器』
真実の鏡、約束の玉、永遠の剣。
「真実の鏡……。まずは、あそこから調べるか」
戦国時代から江戸時代にかけて、
天邪鬼の神が祀られていた……
『花ノ天女神社』へ。