第204章 天邪鬼の愛〜聴色〜(8)
『放課後』shortstory…
ポッキーゲーム。
私の中で密かに憧れていた、ラブラブな恋人同士がする定番ゲーム。
春にやった時のルールは、私がどこまで食べれるかだった。あの時は少しでも家康の気持ちが知りたくて、誰か見てたら?もし、家康の好きな子に見られたら?って、不安とドキドキ。
でも……
それ以上に家康の気持ちが知りたくて、勇気を出して食べた七割のポッキー。心臓が壊れちゃうぐらい、本当にドキドキした。
今日、
食べるのはそれより少ない半分?
甘酸っぱかったあの時とは違う、甘いポッキー。キスをする為のゲームで、禁止令を二人で一緒に解く為でもあって……
(こんな方法じゃなくても///良いのにっ///)
静かな教室に響くポッキーを、食べる音。机の上に乗せられて、廊下から誰かに見られるかもしれない。その羞恥心で早く食べなきゃって、思いつつも……口は恥ずかしくて、ゆっくりしか動かない。
ポリッポリッ……
(家康も食べてるから、余計にドキドキする///)
意識してるからかもしれないけど、何となく感じる視線。どれぐらい食べたか、見たいけど……
目が合いそうで、開けられない。
ポリッ……
ポッキーは大好き。チョコも苺味も期間限定の苺ミルク味も。それなのに……味わう余裕なんかなくて……
頭の中は、
きっと、もうすぐキスする。
それで、いっぱい。
だって……
肩に添えていた筈の私の手が、自然と首元に回って、目を閉じる前……確かに机の上に置いてあった家康の手が、今は腰元に絡まってて……
それが、距離が近づいてる証拠。
ポリッ。
ふわっとした髪が、顔に少しかかる。
唇に伝わる吐息。
グッ!
腰に回った腕に力が加わった。
次の瞬間……