第202章 天邪鬼の愛〜聴色〜(6)
四限目の授業、終了後。
織田先生に呼ばれ、急いで教科書とノートを引き出しにしまうと……
ツンツン。
「ひまり。あ、あのさっ!お昼……先に行ってても良いかな?///」
振り返ると、ゆっちゃんがペンをほんのりピンク色に染まった頬に、引っ付けて、目線を泳がしていて……
「ま、政宗にね!ほら!私の所為で入賞逃しちゃったから、売店で好きなスイーツ奢ってあげようかと思って!」
早く行かないと、人気のは売り切れちゃうからって、早口で話す。政宗が入賞を逃した理由は、授業中にこっそり聞いたばかり。
(ふふっ。それなら〜……)
私はある提案をしようと、
コクリと頷く。
「先生の用事、何かわからないから。今日は別々で食べよっか?」
四人で食べるお昼の時間も、もちろん大好きだけど、今はゆっちゃんの恋の応援がしたい。たまに提案しても、すぐに「変な気を使うのは禁止!」って、遠慮されちゃうから。
いつも、私には気を使ってくれるのに、それは別とか、キャラ?の問題とか言って……
「ありがと///……ひまり」
でも、今日は受け取ってくれたみたい。
ヘアピンをクロスにして、前髪をあげていたゆっちゃん。はにかみながら俯いた途端、剥き出しになったオデコがみるみる真っ赤に上気。
「今日ぐらいは、素直に…頑張る///」
(私はどんな、ゆっちゃんでも大好きだよ)
その姿は、恋する女の子。
可愛くて、私も思わず恋しちゃいそうなぐらい、キラキラしてて……
「気合い入れる!自分磨きラストスパート!」
凄く、眩しかった。
「姫宮」
「は、はい!今、行きます!」
席を立って教卓に移動。
すると、家康も呼ばれて……
「明日、配分する予定だ。しっかり、考えて書いておけ」
「……最悪」
「ふふっ。最後の私と、入賞した家康では、感想。全然違うよね」
授業に遅れた罰として、マラソン大会の感想を、二人で書くように言われて……1枚のコピー用紙を受け取った。