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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第202章 天邪鬼の愛〜聴色〜(6)




あと、私の気持ちも違う。
だって、あの笑顔を見れた時は……

胸が高鳴って、ふわふわして、
直接、心に触れられたかのような……

それぐらい、
本当に特別な家康の一面。


(今みたいに、落ち着いていられない)


つい記憶を辿って脳裏に浮かべ、俯き加減で頬をキュッと、上げると……


「………深まりだしたか」


「え??」


ボソッと急にトーンの下がった声が届いて、顔が反射的に動く。


「ただの独り言。じゃぁ、またね」










『現代姫』










ブワッ……!!


突如、下から舞い上がる風。
地面に降り積もっていた紅葉が、くるくると渦を巻き……空に向かって、幻想的な光景を創り出す。

その強い吹き込みに耐えれず、私は顔の前に腕を交差して目を瞑れば……


数秒後に、アスファルトを強く踏む、慌ただしい足音が聞こえて……


次に瞼を持ち上げた時。



「ひまり!!!」



家康が私の方に、
突風のように走ってくるのが見えた。


「家康……?どうして……」

「……はぁっ、はっ…っとに、どっかで蹲ってんのかと、思ったら……」


普通にいるし。

そう、ボソッと言うと……
ふわふわの髪を揺らして、膝の上に両手をつき前屈み気味になり、乱れた呼吸を整える家康。


汗だくで、
ぽたぽた落ちる雫を見て……


「あ!マラソン大会の真っ最中だった!急がないと!」


嘘のように消えていた、月経痛。
薬が今頃、効いてきたみたい。


「……多分、ゴールしてないの。ひまりだけだけどね。さっき、最後尾っぽいのとすれ違った」

「私が遅いから、心配して来てくれたの?」

「………じゃなかったら、俺。ただのマラソン好きみたいになるし」


家康はクイッと、
Tシャツを掴み汗を拭いながら……



「……やっと、ゴール」



両手を広げて、

「汗ばんでるけど、我慢してよ」

私を抱き締めた。



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