第201章 天邪鬼の愛〜聴色〜(5)
全学年男子が、
校門から出て、暫く経った頃。
走り始めは、大きな差はなかったが徐々に固まりはなくなり、散り始めていく。
半分地点のポイントを過ぎる頃には、先頭を運動部が走り、程々に身体能力の高い男子が追随し……
中間には、小さな集団の固まりが、付かず離れずの距離を保ちながら、グループ別に散らばり。
最後尾は、やる気がないか、体力がないかで気怠げに走っていた。
勿論、先頭グループに居た家康達は、まだまだ余裕があり……
「三成……。そろそろペース落としたら?」
家康は何故かピッタリと横に着く、三成に皮肉たっぷりに提案。
「ハァッ…ハッ…私の計算…では、一周目を皆様に付いて走れば、後々…程よい、タイムをっ…出せるかと…」
(……完全にバテてるし)
「そう言えば、家康。俺からの祝いの品。そろそろ、無くなるんじゃないか?」
「……何の話ですか?」
走りながら、家康の肩を叩く秀吉。
(ってか、あんな大量に入った箱。一ヶ月で無くなる訳がない。下手したら、一年ぐらいあるし)
しらを切りながら、
微かにムスッとした横顔を見て……
(思った以上に、大事にしてるみたいだな)
校内で度々イチャつく二人を目撃し、冷やかすつもりで、少し揶揄っただけだったが……太陽に照らされますます輝く金色の髪を、くしゃくしゃと搔き撫で、
「今度、抜き打ちに行ってやる」
「……来なくて良いです」
また、
変な物を置いていかれたら、困るから。
ボソッと呟く家康。
その時、
ゴンッ!!
「………すっ転ぶかと思ったが。まさか、電柱にぶつかるとは、な」
鈍い音と、政宗の呆れた声。
秀吉は三成を肩で抱え、
職員が立つポイントまで運んだ。