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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第201章 天邪鬼の愛〜聴色〜(5)




マラソン大会当日。
秋の高く澄み切った、空の下。

グランドに引かれた白線。そのトラックのスタートラインに立ち並んだ、弓道部のエース四人。


「ってか、三成。走れんの?」

「家康先輩。ウサギと亀の童話を、ご存知ないのですか?策があれば多少なりとも、不得意分野でも乗り切れます」

「頭使いながら走ってると、途中ですっ転んで、脱落するぞ」

「今年も、織田先生の追走あるからな。引退した俺が言うのもあれだが。弓道部の名にかけて、しっかり走れ」


戦国学園のエンブレムが刺繍された、白いTシャツ。朱色のジャージズボンを、家康は片方だけ軽く折り曲げ、程よく着崩し、政宗と秀吉はTシャツの袖を捲し上げ、逞しい腕を出す。

三成は正統派に着用。


「「キャーッ!戦国プリンス様〜頑張って下さい〜〜っ!」」


秀吉は黄色い声援に、
軽く手を挙げウィンクを決める。
それに悩殺された数人の女子。バタバタと、積み木倒しのように崩れていく……


その近くで、手を振る三人。


「三成くん、転けないように気をつけてね!」

「政宗!死ぬ気で入賞しなさいよ!」

「家康!頑張ってね!」


副部長の声援に、三成はニコニコ笑い。弓乃の言葉に、政宗は「ったく、分かってるよ」と返事。


そして家康はポーカーフェイスを一瞬、ひまりにだけ崩す。そして緩んだ口元を隠して、すぐに正面を向き……


(……俺のゴールはひまりだし///)


内心、かなりデレながら素知らぬ顔で、手足を動かして体を軽くほぐす。

兎に角、四人に女子生徒の熱い視線は向けられた。



そして、



「準備は良いか?」


白衣を着た、
光秀がスターターを務め……


ピストルが空に向かって、掲げられ……引き金が引かれた瞬間。



パァーッン!!!



乾いた爆発音が鳴り響き、
男子がまず最初に、一斉スタートした。



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