第200章 天邪鬼の愛〜聴色〜(4)
寝付けない夜___
赤いワインを、
流し込むように口に運ぶ。
指を動かせば、グラスの中で赤い液体が、揺らめき……男の情熱を宿したルビーの赤い瞳。それが、虚ろげに揺れる。まるで、蜃気楼を見るかのように……
「また、来たか……」
お、…ね…、が……
む……つ…満月の夜……ま、でに……
永遠のつ、る……ぎ……
後ろ姿……
流れる長い髪………
振り返る寸前で、消え……
甘い香りだけを残す。
「やはり、新月の夜に……現れるのか……」
黒いシルクのシャツから肌蹴た、厚い胸板。そこに流れる一雫の汗。
しかし、眼は冷たくその残像を食い入る様に見ていた。