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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第200章 天邪鬼の愛〜聴色〜(4)




少しも鳴り止まない音。

それが、嬉しくて……
くすぐったい気持ちに、
顔をほころばせて……
指先だけ残して、手のひらを離した時。



ぎゅっ。


突然、手が握られて……




「俺も。……したい」




また手のひらが、
家康の固い胸元に吸い付く……

ドキドキドキ……

伝わる早まる鼓動に、
思わずハッとして顔を上げると……



優しく触れるような、キスが落ちて……




「これが可愛いとか、好きのキス」



瞬きするよりも早く、唇は離れ…
今度は視線が絡む暇もなく……



グッ……



「次が………触れたくて、欲しくて堪らないキス」



「んっ………」




心がこもってて……
熱くて、柔らかくて。
重なったところが溶けそうな、
キスが降り続く。


胸にくっ付いた手。
その手に添えられた、ぬくもり。




「………ひまりにしか、ドキドキしない分。心臓、大変だから」




そう言って、暗闇の中でも薄っすら見えるぐらい、目の下を赤くして強く手を握ってくれる。



(今度、私の音も教えるね。ドキドキするのは……家康だけだよって)



手のひらと家康が教えてくれる、
止まらない鼓動。


「はぁ…っ…い、え…やす」


「ひまり……もう、一回だけ」



翡翠色の瞳が、私の全部を吸い込んでから、ゆっくり閉じるのを見て……



私も瞼を閉じた。



溢れかえりそうなほど、
想いでいっぱいになった、心。

欠けていた月が、
満月になるみたいに。


こうやって、時には伝えて。
時には受け止めて……。

「二人」で幸せにならないと、
本当の意味で、
心は満たされないってことを……

この新月の夜に私は知った。





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