第41章 「恋の和歌集(5)三成様編」
数分後……
バスが駅前に止まる。
乗車していた人が降りる中、私と三成君は見つめ合ったまま……
二人だけ残った車内で、
動けずにいた。
「すいません。眼鏡を掛けていなかったので……」
良く見えていなかったと、三成君は申し訳なさそうに誤る。
「もしかして、家康先輩では?思いまして」
「わ、私も急に振り返ったのがいけなかったから、き、気にしないでっ」
バスが発車した瞬間、グラついたと話す三成君。確かにあの状況なら、仕方なかったしね。
本当にすいません。
と三成君は肩を落とし何度も謝ってくれて、逆に私のが申し訳ない気持ちになる。
「こっちこそ、相手が私でごめんね?折角、三成君モテるのに……とりあえず、降りよ!家康もその内に来るしね!」
運転手さんに降りるの?降りないの?と急かされ三成君が先に降りてから、後に続いて料金の支払いをしていた……
その時だった。
「調子乗るなよな!!」
バキッ!
鈍い音が聞こえて顔を上げると、
「出して……っ下さい!」
息を切らした
水浸しの家康がそこに居て。
「え?……な、何で!」
状況を飲み込めずパニック状態のまま、腕を引っ張られ、席に無理矢理連れて行かれる。
バスのドアが閉まり、
再び揺れ動く車内。
一番後ろの座席。
さっきまで座って居た場所に戻る。
車窓から見えた三成君は何故か
頬を押さえながら、和かに笑っていた。
ドカッと反対側にムスッとした表情で、座る家康。
一体、何があったの??