第199章 天邪鬼の愛〜聴色〜(3)※家康様side
普段なら全然気にならない、
苦にならない日常のやり取り。
けど、今の俺はひまり不足で心に余裕なんて一切なし。こんな状況の時は、勘弁して欲しい……
周りの目なんて気にせず、日頃ひまりと、イチャついてた自分を棚に上げて、ついそんな事を考える。
喟然として嘆息を漏らして、耳だけは、騒ぐ二人に集中。
じゃないと、
(……頭、可笑しくなりそう)
キスしたくて。
視線をひまりに縫い付けたまま、口を閉ざしていると……
ふわりと髪が肩から流れて、甘い香りが鼻をつく。
俺が見てるのに気づいたひまり。
けど、目が合った瞬間。
すぐに首を元に戻す。
目が合ったのは、一瞬よりも短い。
かなり意識してんのは、伝わるけど。
あとひと押し。
「ね、ねぇ!///い、家康ならどんなイラストか、描く?」
唇にペンをくっ付けたまま、やっと顔がこっちを向く。動揺してるの。隠せてないのに、一生懸命誤魔化そうとして、話しかけてくる姿とか……
可愛すぎだし。
今すぐ抱き締めて、キスしたい衝動。
完全には押し留めれそうにない。
だから、背中に腕を回してそれとなく身体を寄せ……
「…………何?」
ひまりを煽ろうとしたら、チャイムに邪魔され、そこで時間切れになった。
そして、ホームルーム終了後。
「職員室、呼ばれてるから。先に、行ってて」
「う、うん!鍵開けなきゃいけないから、ゆっちゃんと急いで行くね!」
大分、そわそわしてきたひまり。そろそろ最終手段で、一気に強引に攻めようかと思考を巡らせながら、職員室に入る。