第199章 天邪鬼の愛〜聴色〜(3)※家康様side
『キス禁止令』を出された翌日。
朝の登校時。
「おはよう!」
「……おはよ」
とことこ歩いて隣に来て、無意識なんだろうけど「キスしないの?」そう顔に書いて見上げてくるひまり。
少しでも、早く気づかせる為にこっちは、校外でも必死に我慢。
けど、そんな俺の心境は完全無視のひまりは……
「秀吉先輩が、ご祈祷してくれるんだって!土曜日、楽しみだね!」
「別にわざわざご祈祷まで、しなくても良いんだけど」
「でも、前年度、優勝した秀吉先輩の直々にご祈祷してくれるんだよ?きっと、凄い御利益あるよ!」
……ね??
ドキッ。
話をしながら、上目遣いで見てくるのが、やばいぐらい可愛くて……それこそ無意識に動こうとする手。
顎、頬、髪……
触れたくて、うずく手を無理矢理ポケットに押し込み、冷静を取り繕ってなるべく目合わさないようにしてたけど……。
全然、気が休まらない。
とりあえず、禁止令なんて二度と言い出さないように。何とか校内でひまりからキスさせようと、顔近づけたり、間接キスで意識させたり、髪触ったり……
あの手この手使ってる内に、
(……はぁ。……しんどい)
俺の限界が迫る。
視線は自然と隣の席に座って、明智先生に頼まれたポスターを製作中のひまりに向く。
(口にペンあてるとか。……俺には、誘ってるようにしか見えないんだけど)
横顔を眺めている内に、動く目線。
花びらみたいな、淡いピンクに染まった唇。
その柔らかい唇に、
昨日の昼休みから触れていない。
その所為で……
「そんな大口叩いてさぁ。入賞しなかったら、どうすんのよ!」
「あ?そん時は、俺が直接やるよ。……食えねえぐらい、甘いのな」
「えっ///」
「……冗談だ。ばぁか」
政宗と小春川が騒いで、前でイチャついてるのが……だんだん癇に障り苛立つ。