第198章 天邪鬼の愛〜聴色〜(2)
お昼休みが終わった、後。
それからも、家康が意地悪してるのか。
私が変に意識しすぎなのか……。
もう、判断出来なくなるぐらい、事あることにキスされそうな、しそうな雰囲気になって……
言い出した私の方が気づかない内に、『キス禁止令』に、じわじわと追い込まれていく……
五限目の移動教室。
「明日のマラソン大会。去年と同じで、男子はコースを二週走るんだよね?女子が一周、五キロだから……」
「……十キロ。……はぁ。面倒臭い」
「ふふっ。今年も期待してるね?入賞景品!」
去年、織田先生に「怠けて、後方を走っている奴には、車で追走するからな」そう、言われた弓道部の男子。
家康は先生からの追走を逃れる為に、真剣に走って、見事十位以内に入賞して景品を貰い、私にくれた。
「景品って。確か、ただのお菓子じゃなかった?」
そんな話をしながら、
廊下を一緒に歩いていれば、
急に家康は横を向いて……
「……じっとして」
その言葉に反応して立ち止まると、
家康の手が、ゆっくりと伸びてきて……
髪に触れる。
(んっ……)
ピクンッ。
スッと指で一本、撫でられ……
「……何か付いてた」
ゴミを取ってくれただけみたい。
それだけなのに、
私の胸はドキドキ鳴って……
(つい、キスされるかと思って…)
家康の口元に向かって、
動きそうになる視線。
「あ、ありがとう///」
そうなる前に、
(もう///変に意識しちゃう///)
慌ててお礼を言って俯いた。