第198章 天邪鬼の愛〜聴色〜(2)
校内での『キス禁止令』を出した翌日。
ラブラブでいつまでも居たい。
ドキドキして欲しい。
キスも一回、一回大切にしたい。
そんな気持ちの始まり。
ーー俺からはしない。
校内だけだったのに……
今朝の登校時も、昨日の帰りもなし。
あの昼休みから一回も、キスしてない。でも、キスされそうな雰囲気は何回もあって……
現に今も……
お昼ご飯で屋上でのこと。
家康と政宗が隣同士でフェンスに背中を預けて座り、ゆっちゃんも同じように肩がぶつからない程度に距離を開け、政宗の右隣に座る。
そして私は家康の左隣で横向きに、皆んなの顔が見えるようにちょこんと座るのが、いつもの昼食スタイル。
「はぁ〜明日のマラソン大会。雨で中止にならないかなぁ〜〜」
フォークでタコさんウィンナーを突き刺して、空を見上げるゆっちゃん。
「お前。普段から無駄に元気じゃねーか。マラソンぐらい苦じゃないだろ」
「私は、短距離派!わかる?瞬発力が素晴らしいのよ!」
「なら、突進型のイノシシ女だな」
お弁当を膝に乗せて、二人の会話に私はクスクス笑っていると……
「ひまり……」
ドキッ!
お弁当を既に食べ終わった、
家康の腕がスッと伸びて……
顔が近づき……
ふわっと前髪が同士が触れる。
咄嗟にいつもの癖で、
目をぎゅっと閉じると……
「……お茶、ちょうだい」
え??
その言葉に反応して、
パッと目を開ければ……
ヒョイ!
家康は私の隣に置いてあった、
ペットボトルのお茶を掴んだ。
「……何で、目閉じたの?もしかして、キスすると思った?」
身体が離れる寸前。
耳元でボソッとそう呟かれ……
かぁぁ///
(うぅ…何でこんなことに///)
ゴクゴクッ。
家康は、喉を鳴らしてお茶を飲むと…
「……ご馳走様」
半分だけ残ったペットボトル。
口をつける前に、ドキドキする自分がいた。