第197章 天邪鬼の愛〜聴色〜(1)
陸部の子らが……
「でも毎日、何回もキスしてたらドキドキ無くなったりしない?」
「いつの間にか、挨拶みたいな感覚にさぁ〜」
「な、ならないよ!いつも…そ、の…ドキドキするし…///」
そう答えた後。私は顔の前でパタパタ振っていた手を、止める。
あれ?でも、それって……
もしかして私だけ?
家康が校内でするのは、
さり気ない軽いキス。
ドキドキしてる感じには、見えない。
だんだん不安になって……
あれこれ考えてる内に……
(よしっ!出来たっ!)
ハートのメモに「キス禁止令!」
恋愛経験なんてゼロの私には、
良い案が他に、浮かばなくて。
単純に、回数を控えて貰う作戦に出た私。
だから、お昼休みに提案。
いつまでも、ラブラブでいたい。
家康にも、
いつまでもドキドキして欲しい。
そんな乙女心。
だった……だけなのにっー!!
ドンッ!
「何?聞こえなかったから、もう一回」
言って。
目の前には、家康の顔。
背中には、冷たい壁。
咄嗟に横向けた頬にかかる、吐息。
放課後の、部活前。
日直で部活に行くのが遅れるから……
事前に、今日の練習メニューを
確認しようとしただけなのに……
さっきから、
聞こえないフリをされる。
いつの間にか、
追い込まれた教室の壁。
「だから、日直で!」
「日直で?」
「お、遅れるから!」
突っ張っていた腕が、
気がつけば、壁に押し付けられていて……
「遅れるから?」
こうして校内での
家康の意地悪が、スタートした。