第40章 「恋の和歌集(4)三成様編」
ザァッ……。
バケツをひっくり返したような、雨。
傘を持っていない私達は図書館前からバスに乗り、駅に向かう。
「今日の予報は外れましたね」
「ほんとだね。でももう梅雨入りするし、これからこんな日が続くんだろうなぁ……」
「雨は嫌いですか?」
「ううん。そんな事ないよ。ほら、雨上がりの虹とか凄く綺麗だし!」
「……ひまり先輩らしいですね」
隣に座ってニッコリ笑う三成君に、私も笑顔を返す。
図書館に出るまで少し元気無かったような気がして、ちょっと心配したけどいつも通りで安心する。
「でも、あの勉強方はだめっ!すっごいドキドキしたもん!」
「ドキドキは脳を刺激して、活性化しますから。吊り橋効果……ですよ」
吊り橋効果?
それって、恋愛とかに効果的な方法だよね?
よく、ゆっちゃんがドキドキが相手を意識させる秘訣!って力説してたのを思い出す。
(勉強にも使えるのかな?)
信号待ちで停車したバス。
私は、ふとある看板に目が行き……
何気なくその下の建物に視線を向けた。
雨宿りするように、入り口で立ち尽くす。
戦国学園の制服を着た、
一人の男の子。
手には緑色の傘を持っていた。