第194章 〜エピローグ〜
そんな姿に、
信長は表情を柔らげると……
「ここに居れば、馬鹿が妬くからな。昇降口で待っててやれ。祈願の段取りは、秀吉としておく」
「はい!ありがとうございます」
深々と頭を下げ、ふわりと笑うひまり。信長はより一層、綺麗に咲き出したその表情に、グッと込み上がるものを抑え……
頭に手を置くと、少し間を開け……
「貴様……。三種の神器、その中の剣について何か知っているか?」
「え?神器?剣ですか??」
その問いにひまりは、
大きく体が傾くほど、首を横に向ける。
「……知らないのなら良い。家康に、鍵は返さなくて良いと伝えておけ」
月曜日に朝練が無ければ、
基本、休日練習後に、鍵は返却。
しかし、信長はそんな細かいことは気にしない性分。
「失礼しました」
ひまりの背中を見送った後、
また窓の外に視線を向けた。
パタパタッ!
急いで、廊下を走る。
家康に鍵の返却が不必要になった事を、入れ違いになる前に、告げに行こうとしていたひまり。
ドンッ!
「きゃっ!」
職員室から昇降口に向かう、
曲がり角で誰かとぶつかり……
大きく後ろに傾いた身体。
パシッ!
「……大丈夫?」
伸びてきた手に助けられて、
「ご、ごめんなさい!」
ヨロけた足を踏ん張り、
持ち堪えると、頭を下げ礼を言う。