第193章 〜おまけエピソード〜(4)
楽しい夕食の時間は、あっという間に過ぎた。その後、食器の片付けをしながら、おばさんに進路の相談に乗って貰ったり、おじさんとのお付き合い時代の話を聞いて盛り上がったりして……また、時間は過ぎる。
「ひまりちゃ〜ん。全部、持っていく?」
「ん〜今日は、幼稚園の頃だけにします!」
リビングに保管された、昔のアルバムを持って家康の部屋に向かう。
ベットの上でぴったりとくっ付いて、
「いつ見ても可愛い〜〜。この頃は、よく女の子に間違われてたもんね!」
「……全然、嬉しくないから」
「ふふっ。ひまわりのワンピース、着せられたしね?」
「……あの写真。今度、誰かに見せたらお仕置きするよ」
私は「はーい」と、返事をしてクスクス笑う。パラパラとアルバムを捲りながら……
ふと、何気なく見上げた高級感あるシンプルな掛け時計。帰る時間を急かすように、短い針は数字の九と長い針は三の近くを指していた。
(もう、こんな時間。三十分には帰らないと……)
日曜日の明日は、部活の一日練習。いくら二軒先の家とはいえ、まだ高校生。遅くても、十時前には帰らないといけない。
帰りたくないなぁ。
そんな思いを胸に抱きながら、膝に乗せたアルバムの中の写真をじっと、見ていると……
私の身体を背後から囲んでいた腕が、スッと動いて……
「何、ぼっーとしてんの」
ふにっ。
頬っぺたを片方、軽く挟まれた。
ふにふにっ…
「な、んもらぁい」
「その割には手、止まってる」
前を向いたまま、
「何にもない」と答えても……
家康は一向に
頬っぺたから手を離してくれなくて、
ふにふにふにっ…
「ひひゃい〜〜」
「ちゃんと答えたら、やめてあげる」
しつこく、耳元で聞いてくる。