• テキストサイズ

イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第191章 〜おまけエピソード(2)〜




迷子の経緯を、
俺から聞き終わった白鳥は何故か安心したように、ホッと息を吐く。

つい、その反応に顔をしかめれば、白鳥は「誤解しないでね」と、慌てた声を出し……


「一瞬、私の見送りなんて本当は嫌で。来てないのかな……と、思って。ひまりちゃんが、そんな子じゃない事ぐらい。分かってはいるんだけど……」


散々酷いことをした罪の意識からか、本来ならこんな風に見送りに来て貰える事すら、無い筈だから。と、白鳥は俯き加減に話す。


修学旅行から戻り、俺たちはテスト期間入った為、白鳥の手術前には顔を出せなかった。テストが終わると同時に手術が成功したと聞き、ICUから出て意識を取り戻し、一般病棟に戻った頃合いを見て……二人で見舞いに。

術後の経過は良く、自分の呼吸を取り戻し、積極的にリハビリを取り組み、見舞いに行った数日後には退院。

修学旅行から帰った晩に、父さんから白鳥は父親の海外赴任に着いて行く事に話が纏まったと知らされ、見舞いに行った時に日時が決まり次第、教えて欲しいと……

必ず見送りに行くと、ひまりは約束していた。

そして、それから一週間後の今日。


「ひまりは、約束を破ったりしない。特に自分から言い出したことは」


俺はそうはっきり告げ、腕時計で時間を確認して、白鳥にフライト時間を尋ね、


「後、三十分は此処に居れるから。荷物検査して中に入る時間、ギリギリまで待ってるね」


ひまりを探しに行こうと、
背を向けた時……


「今思えば、いっちゃん。再会した時……」


ううん。やっぱり、何でもない。
背中越しに聞こえた声。


俺は、振り返る事なくジャケットを脱ぎ、ひまりを探しに向かった。



言おうとした事はわかる。
何となくというより、恐らく……


「あんまり、嬉しそうじゃなかったよね?」


そう、続けようとした。



/ 1793ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp