第191章 〜おまけエピソード(2)〜
早朝、車で空港に向かい。
国際線ターミナルの、出発ロビーを探す。混雑した各航空会社の列。搭乗手続きと荷物を預ける、日本人、海外の人を尻目に俺は携帯を耳に当てる。
数回コールを鳴らすが……
何回か後に留守電に切り替わった。
「ひまりちゃん。出ないのか?」
「携帯を車内で弄ってたから。もしかしたら、置いてきて……兎に角、迷子の素質だけは、半端ないから」
口から溢れる息。
他にも俺を夢中にさせる、特技みたいな素質もあるけど。と、は流石に親に言えるはずもなく、渋々、携帯を羽織っていたミリタリージャケットの中に戻す。
薄手とは言え、空調が整った空港内。
汗ばむのを感じて、中に着ていたカットソーをぱた付かせながら、歩いていると……
「徳川さん!!」
「いっちゃん……」
ひまりを見つける前に、見送りに来た白鳥一家と先に出会う。父さんが白鳥の両親に軽い会釈をして、挨拶を交わす横で、俺は事情を説明。
「え?ひまりちゃん。迷子なの?」
「……ちょっと目を離した隙にね」
店が立ち並ぶ付近から、隣で急にそわそわキョロキョロし始めて、これは注意しとかないと不味い。そう、思った矢先の出来事。
反対隣にいた父さんと喋った、ものの数十秒。
隣からひまりの姿が消えた。
こんな事なら父さんの前でも、気にせず手を繋いでおけば良かったと、今更ながら後悔。
電話も出ないし。
下手したら車内に忘れてきてる可能性も高い。一応、国際線のロビーに白鳥一家が待ってるのは知ってるから、先に来てるかと思ったけど……詰めが甘かった。
下手に探し回るより、確実だと思ったけど。ひまりの迷子は、一筋縄ではいかないことを……改めて実感。