第189章 〜後日談〜Halloweenイタズラ〜あとがき
賑やかな音楽。
ハロウィンに彩られた夜。
非日常を感じる眩ゆい光景。
あれから一歩も移動せず、ゆっくりとした時間を過ごしていた、副部長と三成。芝生の上で肩を寄せ合い、パレードを魅入る。
「……綺麗ね。…はぁ。でも進学に急遽切り替えたから。明日から本腰を入れないと、いけないわね」
副部長は、ぽつりと話す。
ずっとこんな時間が続けば良いのにと。でも、高校三年生の自分にはやるべき事がある。
「卒業まで、あと半年。センター試験も残り四ヶ月切っちゃったしね」
瞳は光の世界を移して、胸の内は不安な感情が浮き出る。
芸術が創り出す世界、現実の世界の境界線を往き来しているようだった。
副部長は、クスッと笑う。
二つも年上の自分が、二つも年下の三成に、何を話しているのかと。
三成は相槌も打たず、ただ静かに副部長の話を聞いた後……
「……センター試験が終わるまで、待っていても構いませんか?」
絹のような黒髪に触れる。
「え………」
「貴方への想いは、その間。……大切に。閉じ込めておきますから」
「三成くん……。なら、私も……」
大切に育てておくわね。
この時間は夢。
光の世界を映した瞳で見つめ合う。
ただ、視線だけを絡ませただけ。
けど、それだけで幸せだった。
「イタズラ」な時間を……
二人で過ごした。
「ぱぱ!見て!あの悪魔ちゃん、大きな羽広げて!天使みたい!」
ぴょんぴょん跳ねながら、夢の光の世界に小さい子は夢中。フロートに乗ったダンサーを指差して笑った。
『Happy♡Halloween』
副部長×三成side