第188章 〜後日談〜Halloweenイタズラ〜姫主様×家康様
ただ甘いだけは苦手。
昔からお菓子も自分から、
食べたいと思わなかった。
「家康……」
髪を結っていた黒いリボンを、
歯で噛んで引っ張れば……
シュルッ……
「意地悪はやだぁ……」
解けて…ウサギの耳みたいな、ふわふわのツインテールが、左右不揃いに垂れ下がる。
(意地悪なんてしない…)
こんな好きで、こんなに大事にしたくて、嫌がることなんか……
出来るわけがない。ただ……
触れたくて、甘やかしたくて
もっと乱れる姿が見たくて……
イタズラしたくて……
俺のご奉仕は一筋縄では、いかない。
顔を後ろに引いて、キュッと閉じた口。
いつもの桜色じゃなく、今日は赤い。熟れた果実みたいに鮮やかで水々しくて、それが余計に俺を誘う。舌先でペロッと舐めれば、薄っすら開く唇。
そこから深く入り込んで、逃げる生暖かいモノを捕まえて吸いつく。
次第に強張っていた身体から、力が抜け……俺の名前をキスの間に呼んで、腕を絡ませ、舌の動きにたどたどしく応えてくるのが、本当に可愛くて堪んない。
じっくり時間をかけて、
甘い唇を堪能した後。
「ん…んんっ……はぁ、っ」
ちゅっ。と、音を立てて、解放してあげれば……
「ほら。……後ろ向いて」
顔を近づけて囁くだけで、潤んだ赤い瞳がトロンと俺を見上げる。
それにゾクゾク欲情して、頭がどうかなって……力尽くで壊れるぐらい抱きたい。
(かなり、辛いけど……)
それを、必死に抑えてでも……
ちょっと戸惑いながら、
ゆっくり背中を向ける……
「良い子……」
甘いひまりが、食べたくて堪らない。