第188章 〜後日談〜Halloweenイタズラ〜姫主様×家康様
ご奉仕とは、報酬を求めず、また見返りを要求することなく、労働をしたり、尽くしたりすること。
しかし、今から始まるのは愛のご奉仕。一般的に「ご奉仕」は、女性が男性に……の、イメージのが強いかもしれない。しかも、家康のご奉仕はイタズラ付き。自分への見返りは求めないが……その代わり、甘いものを求める。
「家康、ここって……」
ひまりは、キョロキョロと中を見渡す。大きさ的には、一人暮らしをするワンルーム。それ程、広いわけではない。
ソファとテレビ以外、家具はない。後は、ホテルに置いてありそうな、小さい冷蔵庫のみ。
ただ「ビップルーム休憩所」と、扉には書かれていたのを、入る直前に見た。警戒心が全くなく付いてきたわけじゃないが、パレードが観覧出来ると聞き……大人しく付いてきたのだ。
「ここ、株主用の休憩所」
家康は鍵をかけ、ひまりの手を取ると大きな窓の前まで連れて行く。
「株主??」
「父さんがここを経営してるグループ会社の株主だから。家族限定で優待サービスが受けれる」
表情一つ崩さず真顔で、そう答えた。
サラッと凄い事を言われた気がして、ひまりがポカーンと口を開けると、家康は実は二人分のチケットも優待だと話す。
小さい頃から一緒に居ると、つい忘れがちになるが家康は市内にある「徳川病院」を経営する院長の一人息子。
優待サービスを受けても、全く不思議ではない。
「ここからパレードが見れるの?」
「一望できるはず」
家康は背後からひまりの身体に片腕を回して、そっと包み込むように閉じ込め、ほんの少しカーテンを捲れば……
「ほんとだ。パレードが通るルート」
目の前には、大きな噴水広場。
しかし、直ぐに家康はカーテンを閉め……
「まだ、時間はたっぷりあるから」
『Trick or Treat』
流暢な発音で。
そう、甘意地悪く囁いた。