第188章 〜後日談〜Halloweenイタズラ〜姫主様×家康様
最後に私達が来たのは、鏡の迷路。
さっきの森の迷路で、コウモリとオバケを手に入れてスタンプは合計四つ集まった。
後、一個見つければクッキーは貰えるけど……全部集めたら、何が貰えるのかな??
そう思いながら二つのボックス前で、私達は立ち尽くしていた。
「難易度普通」「難易度アップ」
家康は、全部集めたいなら多分こっち。と、指をさした。どっちにする?と聞かれて私は少し悩んだ後、こっちと指をさした。
「難易度アップ」と書いてある方のボックスに入った瞬間……
(凄い……)
まるで万華鏡のような世界に、
私は言葉を失う。
普通のミラーハウスと違う事に、家康は直ぐに気がついて……全く分からない私が、何が違うの?と、聞けば全面がアクリルガラスでなく、鏡で出来ていることを教えてくれた。
歩くたびにまるで自分が、万華鏡の中のビーズになったみたい。
鏡の奥の奥にずっと、奥にも自分の姿。不思議な感覚と幻想的な空間。
「鏡の世界……」
自分でも無意識にそう呟いた時。
家康がスッと近づいて来て、
「……頭うたないでよ。一応加工されて、そう簡単に割れないみたいだけど」
家康は安全を確かめるように、コンコン手で鏡を叩く。
まぁ最悪、床見て歩くか、触れて歩けば大丈夫。そう言って、私の手を引いて前を歩き出した。
「あっち見ても、こっち見ても、私達がいるね」
「……幽霊混じってたりして」
「もう!そうやって、脅かすんだから!この前の修学旅行だって!あの赤い橋で……」
私はそこまで言いかけて、口を閉じる。
実はここ最近、寝る前なるとふと考えていた。
佐助くんが言ってた「リンク」
書物を読めば読むほど、あの文の……上手く言えないけど……背景が見えてくるような。
「赤い橋のこと、気になってんの?」
家康は前を向いたまま。
私は、返事の代わりにぎゅっと手を握り返す。「うん」って、何となく言えなくて。
鏡の奥の奥の家康。
……いつもと変わらない。