第186章 〜後日談〜Halloweenイタズラ〜弓乃×政宗様
「お前、本気でヤバいとこに隠したんじゃないだろうな?」
政宗は眼帯で覆われていない方の目を、凝らす。
両腕に触れ終わった後、
残すは胸元しかない。
弓乃はその問いに口を固く塞ぎ、何かを訴えるような……しかし、ただ媚びたような目ではなく。強さも含んだ瞳を向けた。
それには、
政宗もドキリと胸を熱くさせ……
「俺を欲情させると、ロクなことないぞ」
自分にもそう言い聞かせるように、エンブレムの付いた胸ポケットに、手を入れカギの感触を求めるが……
「んっ……」
見当たらない。
(……そろそろ、本気でヤバいな)
残り時間もほぼない。
政宗は僅かに躊躇いを見せたが、そっと左手をずらし、弓乃の小柄でも膨らみはある胸を、青いシャツ越しにやんわりと弄ったが……
その瞬間。
ピピピッ……時間切れのアラーム。
しかし、同時に隠し場所に気づいた。
「……まさか、ココに隠してたとはな」
弓乃の口を指でこじ開ける。
中に入っていた小さな鍵。
口を固く閉じて、
必死に吐息を零さずにいた理由。
歯でしっかりと挟み、間違っても飲み込まないように注意していた。
「ちょうど、手洗い場行った時に落としたから。綺麗に洗ったのよ!」
じゃなかったら、
口の中になんて入れないし!
弓乃はそう言いながら濡れたハンカチで、丁寧にカギを拭き取り、手錠の鍵穴にさす。
カチャッ。
解放された二人の腕。
「約束したんだから、ちゃんと答えてよね」
弓乃は離れた腕を、少し残念そうに見ていた。政宗は、手首のコリをとるように軽くほぐすしながら回す。
「仕方ねぇ。その代わり、先に寄越せよ」
「へ?鍵はもう………」
ドンッ!
壁に手をつき、弓乃を見下ろすと……
「なら、鍵の入っていたココを貰うしかねぇな」
顎を捕まえた。
『トリック・オア・トリート』
イタズラからはじまった二人は、最後にお菓子みたいな甘いキスを、手にした?