第6章 後輩「石田三成」
下校時間。
皆んなが正面玄関に向かう中、私はパタパタと走り回り家康の居そうな場所を探す。
(もうっ。何処に行ったのよ!)
鞄を二つ持ちながら家康の携帯に電話をかけてみる。
すると持っている鞄の中から、
ブッーブッー……と
振動が伝わり、私は軽く息を吐く。
まさか帰ったりはしてないよね?
一度下駄箱を見に行こうか悩んでいると、突然後ろから誰かに腰元を掴まれ……
グイッ。
「ひまり先輩」
「!!!……み、三成君!び、びっくりした〜……」
首だけ後ろに向ければ、間近にエンジェルスマイル。
「お久しぶりです」
「だね!……ってか三成君、背凄く伸びなかった?」
確か、中学の時は私とそう変わらなかった気がするんだけど。
どう見ても今は、家康より高いよね?
「30センチ程、急に伸びまして。成長期のお陰です」
「そっかぁ〜。入学式の時は壇上の上に居たから気づかなかった……って!」
しまった!!
つい昔の感覚で!!
私は慌てて腰に回された手を解き、密着した身体を離す。
「如何して離れるのですか?中学の時は、いつも先輩から抱き着いて下さったのに……」
シュンと子犬のように表情を落とす三成君。