第3章 気づいてほしいこと
(何してやがるあいつ!!!!!!)
そこには
『アキちゃん?にはどっちがいいと思う?』
とペットショップであろう所で首輪を二つ持つ名の写真が新開から送られていた。
(なんのための見送りだ!!さらに遅くなってどーすんだ!つーか二人で寄り道してんじゃねーよ!!)
しかも名からも連絡があり
『どっちがいい?』
「知るかぁぁぁぁぁぁ!!!」
と自室で叫ぶ荒北。その叫び声は新開の部屋に微かながらに届き
(靖友怒ってんな)
と染々していた。分かってはいる。帰りが遅いから送っているのに寄り道してさらに遅くなってしまった事、大事にしている名に近寄ってる事、自分が荒北の隙を狙ってる事。それらの何もかもが靖友には不満な事。
(ま、ごめんな靖友。)
次の日、
「あ!靖友!」
「・・・・んだよ」
学校に行くと名に呼び止められる荒北。
「昨日なんで返信くれなかったのー」
「寝てたぁ」
(返信なんかできっか!)
荒北の苛立ち等お構いなしに
「全くもー」
と自分の鞄から何かを探している名
「つーかお前早く帰れよ」
「新開君がさー誘ってくれて」
(あの野郎・・・)
「いやぁ、荒北と違って新開君はイケメンだね。女の子の扱い方が分かってる感じ、それに・・・・あー」
そして、その何かは見つからず
「ないなー。荒北何か家に送るものある?今度渡すから昨日アキちゃんに買ったやつも送ってー」
(それにのあとなんだよ!!)
「・・・分かった。」
「荒北?」
「分かったって」
「なんか怒ってる?」
「怒ってねーよ!もともとこんな顔だ」
なら良いけどと言いながら心配してくる名に
「分かったから今度よこせ」
と名に甘い自分にも、自分が原因だと微塵も思っていない本人にも呆れながらそう言う。そして、部活の時間、
「悪い」
と苦笑いしながら言ってくる新開に
「悪いとか言ってんじゃねーよ!寄り道してんなよバーカ!名連れ回してんじゃねーぞ!!」
と名に言えなかった事を新開に全てぶつけた。
「おっかしぃなー。名があまり怒ってないって言ってたのになー。」
「へらへらしてんなっ、たく」
本当はもっと言いたい事があったが、そこまでにした荒北。今、部はインハイが近づきそれどころではないのだ。