第8章 11月
「じゃ、じゃあ!」
「うん」
「今月はなんの月でしょう」
「月って日々変化するんじゃないの?」
「そっちじゃないです」
本気の目でそんなボケされても困ります。
さて、和也君は覚えていてくれてますかな?
賭けです!
覚えていれば祝い、
忘れていれば記憶は排除。
ちなみに、私はどっちも願いません。
「今月?何かありました?」
「二人の○○ですよ」
「んーー」
「なぞなぞじゃないですからね?」
「知ってますよ」
やっぱり、わかんないか。
そういうものですよね。
女の子ばっかり。
映画とかであるじゃないですか。
いろんなことに女子は気を配るから、男子が嫌がって別れるみたいな・・・。
決めましたから。
和也君を支える奥さんになろうって。
だから、いいんです。
でも、籍を入れた日だって、和也君は忘れてて
祝ってくれなかった。
本当は結婚して一年経つのに、何もなかった。
それって、悲しいことだって思うのは私が変
ですか?
「タイムアウトーです」
「答えは?」
「排除」
消しています。
今、私の記憶を。
消しています。
「ストップ」
「え?」
「削除中止」
ソファから立った和也君が、いきなり抱きついてきた。