第1章 4月
夜、お花見で定番のこの場所では
桜がピンクにライトアップされていた。
もちろん人は少ないから、安心です。
「寒くない?」
まだこの季節は肌寒いです。
そんな中で、優しく気づかってくれる和也君。
「大丈夫です」
「手、繋ぎましょうか」
「は、はい!」
差し出された手に、なんだか嬉しくなった。
和也君の手、温かいです。
「冷たい手をして・・・まったく」
「すみません。手袋してくるべきだった」
反省しようとしたら
和也君が桜を見上げながら言った。
「なに言ってるの。この方が温かいでしょ?」
そう言って、繋いだ手に力を込めた。
そんな、いい感じにライトを浴びて・・・
ずるいです。